無補殺三重殺

ロッキーズの遊撃手が、MLB史上たった12例しかなかった「ひとりトリプルプレー」をやったらしい。無死一、二塁からショートライナー→二塁を踏んで二塁走者封殺→飛び出してきていた一塁走者にタッチアウト…という流れで、これは日本プロ野球史上唯一の例とほぼ同じ(達成者は阪急の住友二塁手)。
ところで、この無補殺三重殺はこのほかにどんな状況で発生しうるだろうか。トリプルプレーの最低条件としては無死で走者が2人以上いなければならないから、単純に言えば無死一・二塁、一・三塁、二・三塁、満塁の4通りが考えられる。このうち、走者が離れたところにいる一・三塁での達成はまず不可能なので除外。
野手に刺殺が記録されるのは以下の3つだ。

  1. フライかライナーを捕る
  2. ボールを持って、塁についていない走者にタッチする
  3. ベースを踏んでフォースアウトにする

現実的に考えて、走者が多少ミスを犯したとしても、一人でタッチできる走者の数は2人が限度であり、ゴロを捕球して送球せずに3人をアウトにすることはぴの以外には不可能である*1。よって、打球はフライまたはライナーであることが必須であり、残り2つのアウトをどう取るかを考えることになる。しかもこの場合、走者はもとの塁に戻らない限り安全が確保されない。逆に言えば、走者には飛び出してもらった方が、三重殺を成立させる上ではありがたい。
打者走者はすでにアウトになっているので、残りの2アウトは塁上にいた走者から取ることになる。今回のように「二塁付近で打球を捕球し、一塁走者と二塁走者を刺す」のでなければ、あとは「三塁付近で打球を捕球し、二塁走者と三塁走者を刺す」しかない。一塁付近と本塁付近には走者があと1人しかいないからだ。
では、無死二・三塁あるいは満塁でこのプレーが成立するだろうか。この状況では、攻撃側がヒットエンドランを仕掛けることはまずないが、三塁走者については、ベース付近でライナーを捕球し、そのままベースを踏めばアウトにできる。二塁走者が飛び出してくるような状況が、「考えられるミス」の範囲で発生するかどうか、と言い換えてもよい。

…4-5と1点差を追う8回、無死二、三塁。打者は今日当たっていない9番打者。1番打者は今日2安打3打点と好調。守備側はバックホーム態勢で二塁手・遊撃手が前進。二塁走者は遊撃手の後ろまで大きなリードを取り、一打逆転を狙う。3番打者の放った打球は痛烈に三塁線を襲うが、三塁手がこれを好捕、すぐさまベースを踏み三塁走者を封殺、大きくリードをとっていた二塁走者は帰塁を試みるが、二塁手前でタッチされ、アウト。

うーん。ありえなくはない、かな?

*1:しかもぴのは外野手である