土日に無茶な遊び方をする

わが母校京大の体育会クラブは、一般的に日本最高学府といわれる東大と、毎年定期戦を行っている。従来は各クラブが個別に戦っていたんだけれども、3〜4年前から京都大学体育会VS東京大学運動会の総力戦という扱いになったらしい。我々準硬式野球部も当然加わっており、OB同士の試合が組まれることもあって年に一度のお祭りといった様相を呈している。現役同士はともかく、OB同士の戦いはまだ動ける大学院生が何人集まるかによって勝敗の行方が左右されることもあり、地元開催が有利である。今回は7/2-3に敵地・東大駒場グラウンドで不利な戦いを強いられることになる。

予定を組む

さて、そんなわけで東京方面に行くんだけども、日帰りだとしんどすぎるし、パックツアーを使えば1泊2日でも普通に往復の切符を買うより安くなったりもするので、泊まりがけで行くことにした。そしてせっかく泊まるのであれば、スケジュールをきっちり練りたいところだ。
ということで、土曜はゴルフ、日曜にOB戦という大枠を決めた。
しかしゴルフと簡単に言っても、土曜の朝に滋賀県の自宅を出て首都圏でゴルフをするのは至難の業。始発に乗れば東京駅には朝9時に着くが、我々の手が届く価格帯で、かつ我々の技術でも楽しめる広々としたコースをとなると、東京駅からさらに2時間は覚悟しないといけない。日本において一般的な朝9H、昼食を挟んで昼から9Hというプレースタイルだと、遅くとも11時までにはスタートする必要があるため、これでは間に合わない。
選択肢は一つ。「午後から18Hスループレー(休憩なしのぶっ通し)」だ。季節は夏。もし灼熱のカンカン照りだったらかなりの消耗が予想される過酷なスタイルだが、そこはもと体育会系野球部員として心頭滅却房総カントリークラブ大上ゴルフ場というコースでプレーすることが決まった。そのあと焼肉を食べて英気を養い、翌日の野球に備えるというスケジュールがここに完成した…のだが、順調にいっても宿に着くのが23時過ぎというなかなかの長丁場。がんばるぞー。

いざ関東へ

目が覚めたのは朝5時。昔から遠足とか旅行の日はあまり寝られず早起きしてしまうタイプだ。まして、寝坊したらそこで試合終了だよというプレッシャーのかかる中、のんきに寝ていられるほど俺は自信家じゃない。
それにしても荷物が重い。ゴルフクラブクロネコさんに運んでもらっているが、ゴルフウェア一式、シューズ、野球のためにウェア、グラブ、スパイク。先輩が「グラブないから貸して」というので一つ予備。捕手ミットを誰も持ってこないという可能性に備えてミットも予備。シューズ、スパイク、グラブグラブミット。小さな袋が5つにもなってしまった。こんなの担いでられないので、4泊いけるスーツケースにパンパンに詰め込んでの出発。始発から2本目の電車に乗ってまずは京都駅へ向かう。部活の試合に向かう高校生と向かい合わせに座りながら、途中コンビニで仕入れたパンを頬張る。おじさんお兄さんも今から遠征やねん。荷物こんなんやけど。
6時44分に京都駅に到着。のぞみに乗り換えて、6時52分に京都発。目的地は東京じゃなくて新横浜やから、寝過ごしたらそこで試合終了だよ。携帯電話のアラームをセットし、家から持ってきた週刊ゴルフダイジェストをパラパラ読みつつウトウト過ごす。いつもならスジャータのアイスを食べるところだけども、今日はいつ寝るかわからんので食べず。
8時54分、無事に新横浜に到着。何となく暗い。菊名経由、乗り換え乗り換えて集合場所の武蔵小杉駅に予定通り9:20に到着。節電はまことに結構なんだけれども、あんまりエスカレータとか止めないでおくれ…15kg級の荷物を持って階段って、結構きついでっせ…。
迎えに来てくれたT大のやすえもん車に荷物を載せていると、K大の後輩・I上くんも到着。やすえもんとI上くんはともに群馬出身、しかもおばあちゃんちが隣町(村?)とかで何だか盛り上がっていた。

ドライブドライブ

ここから車は房総カントリークラブ大上ゴルフ場へ。首都高入り口で現金を支払うやすえもん。

わ「あれ、ETCついてへんの?」
や「いやー、カード家に忘れたんすよ」
わ「へぇ、ちゃんとカード抜いてるんやなぁ」

この時点では特に深く考えず、やすえもんのマツダ・アクセラは快調に進む。そしてアクアライン出口。

わ「うお、3000円!?」
や「高いっすねー」
わ「ETCやと大幅割引があった気がするんだが…」
や「マジすか?  あの、ETCだったらいくらになるんでしょうか」
料金所の人「800円です(サラリ)」
や&わ「(゚Д゚)ポカーン  …は、800円!?」
料金所の人「はい(サラリ)」

半額どころか7.3割引!前回通ったときはETCやったけど、料金いくらとか気にしてなかったというやすえもん。帰りもむざむざ3000円払うのかと思うと笑うに笑えず、やや凹み気味でまだまだ進む。

わ「そういえばI津は大丈夫かな」
や「大丈夫じゃないっすか?」
わ「ちょっとメールしてみるわ」

本日のゴルフもう1名の参加者、T大のI津。フォームも構えもめちゃくちゃやのに、魔法のようなアプローチとパットで前回(2年前)の優勝者に輝いた男だ。しかし生来のしゃべり好きが災いして、英語禁止ホールでは無類の弱さを誇る。メールを送って3分後、彼から電話がかかってきた。bluetoothハンズフリー機能で着信。

I津「おはようございます」
わ「寝てたな」
I津「いやいやいやちょっと大事件がありましてですね」

若干口調が頼りない。寝起き疑惑をよそにしゃべり続けるI津。

I津「ところでやすえもんさん、どの道から行ってますか」
や「アクアラインだよ」
I津「そうそう、アクアライン混んでました?

我々はアクアラインを下りてからすでに30分以上走っている。大丈夫か。

や「今どこなんだ(苦笑)空いてたよ」
I津「そうですか!わっかりました〜最初3ホールくらいは僕がいなくても進めててください」
通話終了。
や「そういえばI津は遅刻魔でした」
わ「大丈夫ちゃうやないか(苦笑)」

…まぁ、何とかなるんやろう。

ゴルフ場にて

コンビニで飲み物を調達し、ゴルフ場に着いたのは11時半頃。3人でゆったりと着替え、ランチを頂き、充実のバンカー&アプローチ練習場で汗を流す。パターもみっちりと。12時31分のスタートまであと5分、

や「I津来ました」

おお、速い!パンを片手にI津登場。あれ?I津のクラブセットってこんなんやったかな。

I津「実はですね、家を出るときに何となく車のトランクを開けたらバッグがない!そういえばこないだ練習行ったときに友達の車に入れたまんまでして。もう片っ端から電話して借りてきました」
わ「…そらたしかに大事件」

しかし彼は全く練習できぬままにスタートホールへ。他人のクラブで練習なしとは、かなりのハンディだ。
ここ房総カントリークラブ大上ゴルフ場は比較的広めのフェアウェイで、手入れのなかなかよく行き届いていて綺麗なコース。インはややトリッキーで左右OBのホールが多いが、アウトは隣のホールから戻ってこれるホールが多く、OBにはほとんどならない。あまり距離の長いコースではないので、我々飛距離自慢の野球人としてはバックティ(青、6266yds)からプレーした。チャンピオンティ(黒)からだと申請が必要だけど、青は自由に行ける模様。
T大2名、K大2名ということで、今回はフォアボール方式(各チームのよい方のスコアで競う)で戦うことにした。
プレー内容には特に見所ないが、ただ、英語禁止ホールについてはメモっておきたい。英語禁止開始直後、自販機での一コマ。

I津「何買うの?」
I上「えっと…挽きたて微糖、です」
I津「火?(注:FIRE)」
I上「そうです、キリンの」
I津「KIRIN!アウト!

…キリンは英語じゃない。アウトは英語。前回大会でも「メガネはセーフですか」と自爆したI津、今回もカタカナ表記に惑わされてまたも自滅。
みんな意識を失うこともなく18ホールをぶっ通しでプレー終了。といっても前がずいぶん詰まっていたので休み休み、ハーフ3時間弱で終わったのは18時を回っていた。結局、K大vsT大はK大が6and5で完勝(18Hでは4up)。裏チーム分けとして、「群馬出身vs兵庫(の高校)出身」「既婚vs独身」ってのも作ってみたけど…結果としてはどれも、私のいる方が勝ち。最近全く練習してないしスコアも下降気味なんだが、とりあえず最年長の威厳は失わずに済んだ(笑)