鹿男あをによし

テレビで、玉木宏綾瀬はるかが共演しているこのドラマ。奇想天外なお話だけども、地理的になじみ深いということと、児玉清山寺宏一(鹿の声)あたりがいい味を出しているので楽しみつつ見ている。奈良といえば鹿、鹿といえば奈良だ。この二者は「コーラを飲めばゲップが出るッ!それくらい当然なんじゃッ!」に匹敵するほどの切っても切れない縁。
そんな奈良でいま話題沸騰中の鹿男といえば、やはり彼。平城遷都1300年祭マスコットキャラクター(名称未定)だ。少なくとも身の回りからは肯定的な声が全く聞かれないこのキャラ、本気でこのまま押し通すのだろうか…。
知事は「大好きです。最初に見たときから素晴らしいと思った」とキャラクターを絶賛し、「(デザインに対する好き、嫌いの意見に)流される必要はない。行政が芸術の尊厳を冒してはいけない」と説明したらしいが、これは好き嫌いのレベルを超えて可愛くないし、それ以前に宗教的な問題があるように思う。仏の子、菩薩である童子に鹿の角を生やすとは何事だ、というような猛抗議が仏教界から飛んでこないのが不思議なくらいだ。最近ムハンマドのかぶったターバンを爆弾に擬した絵で大騒ぎになったばかりだし、もし長崎かどっかのキャラが、キリストにチャンポン麺のどんぶりをかぶせた姿をしていたら、世界中からクレームが飛んでくるだろう。
ただ、これについては作者に責任があるというわけではないと思う。なぜなら、12人から21点の作品を集め、そこから選考した結果この作品が選ばれた(少なくとも、そういうことになっている)からだ。応募作品に問題があるのであれば、その選考で落とせば済むだけの話。他の作品がよっぽどの駄作揃いだったのだろうか?だとしたら、12人の応募者に対して支払われた総額500万という謝礼は高すぎる。しかも優勝者にはさらに500万が支払われたらしいではないか。税金の公正な支出という一点から見ても、その12人の応募者及び21点の作品全てについて公開すべきであるし、法的にもそれは請求可能なはず(私は奈良県民じゃないから無理やけど)。まともな選考が行われたのであれば、この作品が優勝するとは私には到底思えないし、仮に21点の中で相対的に最も優秀だったとすれば、そんな作品群しか集められなかった人選にかなりの問題がある。公募の予定がなかったとしても、「こんなんしか集まってへんのではあきまへんで」と急遽一般公募を始めることもできたはずだ。愛称を募集する前に、まずは残りの候補作品を見せてほしいな。