ハイレモンとかヨーグレット

小さい頃はよく食べた記憶がある、あのタブレット状のお菓子。今ちょいと風邪気味なので、ハイレモンでビタミンCをせっせと摂って回復を待っているところである。あのハイレモンやらヨーグレットの包装って、錠剤のそれと同じで、プチンとやって取り出すヤツ。昔はこの銀紙をきれいに剥がしてみたり、押しつぶされたプラスチックの部分を元の形に戻してみたりしたもんだ。懐かしい。
まぁ、小さな子供でも簡単に取り出せて、タブレットが割れてしまうこともなく、しかも衛生的というこの包装、コストはかかるけれどもそれなりに優れたものだと思う。ところが、この包装を開けられない人だっているのである。
そう、うちのオトン。
小さな頃から、錠剤の包装を自分で開けたことが一度もなかった父。子供の頃は母親(私から見れば祖母)に、いまは私の母に全て必要な分だけ開封してもらって飲んでいる。テレビを見ながら「薬〜!」とコールするだけで、必要数と水が出てくるのである。仮に毒薬が紛れ込んでいても、そのまま気づかず飲んでしまうのではないだろうかと心配になる。そんな父がこないだ、出先で錠剤を飲もうとしたときのこと。あのプラスチックと銀紙で包装された錠剤を、小指の爪で銀紙を剥がして取り出そうとするが、小さい錠剤だったためかなかなか穴が開かず、めくれない。短気な父は、同席していた部下に

父 「こんなちっちゃいもん、ワシよー剥かんわ。剥いてくれへんか」
部下 「…え?社長、それ本気でやってはるんですか?こないするんですよ」

プチン。

父 「…(絶句)お前賢いな!」
部下 「誰かてできますよ!いつもどないしてるんですか」
父 「ヨメはんにやらすがな!」
部下 「奥さんかわいそ〜!」

帰宅してから、「こないして剥くって知ってたか」と母に聞いた父。カニ好きの母が自分のことで精一杯になり、ワシの分まで剥いてくれないという理由でカニが好きではない父。でも、以前は母が袋まで剥いていたデコポンを、最近は自分で皮剥きするようになった父。今日はそんな父の63歳の誕生日だ。