銀座「あまくさ」の天草大王

職場の飲み会(というか食べ会)をどこでやるか、幹事のデマ姉さんが困っていたところに登場した私。「何食べたいっすか?」「この季節なら、鍋でしょう」そうして見つけた候補の中に、「天草大王」の文字を発見し、即決定したのがこの店、「幻の水炊き・マロン豚・地焼酎 あまくさ」だ。
天草大王と私の出会いはもう2年以上前になる。Yahoo!ニュースで「半世紀ぶりに復活 日本最大の地鶏」といったニュースを見、熊本県畜産協会のサイトを訪れたのが発端だった。美味そう。その頃企画していた九州旅行で食するつもりだったが、日程の都合であえなく断念。以来、呼び戻されることのなかった記憶だった。
まさかこんなところで出会えるとは。
ただ、実際に食べたわけではないから、保証はない。たいしたことのない鶏だったらどうしよう、沽券に関わる…と内心不安だったが、店に入った瞬間、それは消えた。
なんていい香り。もうこれだけでご飯が食べられそうである。我々を感動させてくれた料理「天草之虎」コースで出てきたものは以下の通り。

  • 付き出し(鶏皮の湯引きとクラゲのポン酢和え、湯葉、カラシ蓮根)
  • 天草美人サラダ(イカ、エビとレタス、タマネギ等、胡麻ドレッシング)
  • 刺身(天草大王のモモ、ささみ、熊本名産の馬刺し)
  • 焼き物(天草大王のモモ、ムネ、マロン豚のロース、モモの溶岩焼)
  • 酢の物(有明海のタコ酢味噌和え)
  • 鍋(天草大王の水炊き)
  • 雑炊orチャンポン麺
  • 香の物(高菜漬け)
  • デザート(天草ジャージープリン)

結論を言うとどれも美味かったのだが、その中でも特筆すべきものは以下の品々。

刺身
甘味のあるたまり醤油で頂く刺身は、肉の旨みがぎっしりと詰まり、地鶏の引き締まった肉質を楽しめる品。また紅色がかった馬刺しも濃厚な味わい。生姜とニンニク、あさつきをお好みで加えればさらに旨みが増す。
鍋として頂く前に、鶏ガラから丹念にとられたスープを頂く。今まで数々のラーメン屋を巡り、鶏ガラスープも様々に味わってきたが、このスープは凄い。某マンガの名台詞を借りるしかない。まったりとしていて、それでいて全くしつこくなく…。鶏の旨みとはこれのことだ、と言ってもいい。
雑炊
そんなダシで作る雑炊が美味しくないわけがない。塩で味を調え、ややじゃぶじゃぶ気味に作った雑炊はまさに至福の一品。いつも小食の方々なのに、今日は最後まで衰えることなく食べ続けていた。

極上の素材を丁寧に扱い、壊さないように提供するのは簡単なことではないだろう。それを支えているのは、天草の天然塩をはじめとした調味料たち。甘味とコクのある醤油、それを使って作られた、まろやかなポン酢。柚子胡椒や胡麻ドレッシングも秀逸だった。銀座でこのコースが6000円。また、コースには含まれていなかったが、天草大王の親子丼(950円)とか、天草大王のお造り(肝・砂肝、各780円)にも非常に食欲をそそられた。安いとは言い難いが、値段以上の値打ちはある。鶏好きの方には強くお薦めしたい店だ。