用賀「ら・ぼうふ」のサガリ・タレ

さて、グラウンドを後にして、旨い肉に食らいついていくべく、「肉部」に合流。駒場東大前駅から一旦渋谷に出て、東急田園都市線に揺られること10分あまりで用賀駅に着く。そこから南東に約1km歩いたところにある、ら・ぼうふ。変わった名前やなぁ…ボウフラ?と思っていたら、何のことはない、La Bouef。フランス語で「牛肉」ですか。ブフって発音になるんちゃうんかと軽くツッコみつつ、ひたすら待つ。ここはハイレベルな肉質でその名を轟かせているらしく、店の外まで待ち客があふれる。我々も店外で1時間くらい待ったか?空腹の待ち時間は長く感じるものではあるが…。
入った店内は焼き肉屋のわりに洒落た感じ。大型のテレビが何やら音楽のライブ映像を流していたり、煙がもうもうと上がる昭和時代の焼き肉屋とは一線を画す。そして前述の通り肉質が売りなので、メニューもホルモンより赤身肉に重点が置かれているようだ。では恒例の、「食べたものは以下の通り」。今回はちょっと派手な演出つきだ!リンクになっているメニューをクリック!

噂通りと言っていい。前回の京城もかなりいい肉だったが、方向性が異なる。京城は「肉の旨みは脂」という考え(にくづきに「旨い」と書いて「脂」やしねぇ)で、かなりびっしりとサシの入った肉を薄く切り、サッと炙って口中でとろける脂身を楽しむ感じだった。それに合わせて、タレもあっさりさっぱり、脂がしつこすぎないように工夫されたものだった。
今回のら・ぼうふは、脂よりも赤身の部分の旨みを感じさせてくれるタイプ。肉は厚めに切ってあり、タレも、砂糖醤油かと間違うほどに甘味のある醤油をベースにしたコクのある感じ。牛冊切やヒレは塩胡椒で下味を付けたものを醤油で頂くスタイルだったのだが、これが抜群にハマる。何種類もの材料を加えたり、何日も寝かしたりした調味料を誇る店は少なくないと思うが、この醤油(名前聞いたけど忘れた…不覚)はそんな工夫を小細工とあざ笑うかのような深みのある味わい。かつて山岡さん@美味しんぼは、肉に一番合う調味料は醤油だと言っていたことをまた思い出した。肉食文化のなかった国の調味料がこんなに肉に合うとは、正直驚きである。
さて、感銘を受けたメニューについて一言。

はらみ
柔らかく、かつ比較的安価で食べられる店が多いため、この部位が好きな人は多いだろう。ここのはらみは、筋繊維どうしの結合は弱く柔らかさを演出しながら、それぞれの筋繊維はぷりんとした歯ごたえ。繊維が口中ではじけると、肉の旨みが広がる。塩も旨いが、是非タレとの違いを味わって欲しい。
特上牛冊焼
サーロインを分厚い短冊状に切ったもの。タテ・ヨコ・ウラ・ヨコと4面を順序よく焼き、中がピンクになっている頃に口に運ぶ…付けるタレは上述の醤油だ。わさびも、にんにくも、カラシも要らない。醤油の深いコクが、肉の味をいっそう引き立ててくれる。文句なしに、旨い。
ロース
コストパフォーマンス第一はこれ。見た目はロースっぽくないが、タレの仕込みも良く、柔らかな歯触りと味わい。脂分は少なめなので、こってりが好きな人は是非トロカルビを。