十年一日(序章)

序章 本編 終章

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この街を歩けば よみがえる16歳…

斎藤和義「ずっと好きだった」で歌われているのは、高校の同窓会の様子。男子校出身の私にはあの歌の気持ちはあんまりよく分からないが、大学は一応共学だったのでまぁ何となく分かる。去る6/11-12の土日に、大学の同窓会が開かれた。卒業してから10年あまり、初めての「同窓会」である。

発端〜準備

事の起こりはGW明けの頃。東京にいる当時の中心人物2名(総代Kと破戒僧N)が飲んで酔っぱらいながらtwitterで「同窓会やるぞー」とつぶやきつつ、それぞれが私とZAX氏に電話をかけてきた。酔っぱらいに時刻の感覚はない。たしか迷惑にも23時頃だったと記憶しているが、そういう勢いでもなければ事態は進まなかったかもしれない。mixitwitterfacebookという10年前にはなかったツールと、10年前から首の皮一枚で繋がっているcgi掲示などのネットワークを駆使し、世話焼きな性格と調整能力を兼ね備えたZAX氏の尽力によって計画は実行に移された。
ただ集まって飲むだけでは芸がない、やはり夜が明けるまで時間を共に過ごしてこそ、当時を思い出せよう…というコンセプトで確保したのが、「シャトレーイン京都」。修学旅行などで利用される、12名収容の22畳大部屋に素泊まりで25,000円ポッキリというプランだ。上下はともかく、左右の壁で接している部屋がない配置なので、少々騒いでも他のお客様にご迷惑をおかけする心配は少ない。飲んで、歌って、喋って、あとはブラブラというプランが確定した。

集合

さて当日。私はまず夜を楽しく過ごすための荷物を搬入した後、N氏を拾うべく京都駅へ。

私 「八条口ついたぞー」
N 「おお、せんきゅー。…八条口って北?南?
私 「おいおい、すっかり忘れとるな。南やぞ」
N 「あー、じゃあおれ今逆側におるわ…そっち行くわ」
私 「マクドの前におるからな」

10分後。

N 「わりいわりい。最初ついたのが北やと思って逆側に行ったら、そっちが北やった
私 「なにー」

駅での合流に20分を要するというまさかの事態。これも10年という歳月のゆえと思って、市内を流すことにした。

N 「そういえば東京ラーメンどうなってんの?」
私 「『足と腰の故障のためしばらく休みます』って貼ったまま休み続けてるわ。もう1年以上やな」
N 「じゃあ電話して聞いてみよか」

なぜ番号を知っているんだとはあえて突っ込まなかったが、おもむろに電話を始めるN。

N 「えっ、そうなんですか!2年も前に!…お疲れ様でした、あの味は僕らが語り継いでいきます」

店主ご本人が出て、もう体がついて行かないので2年前にやめたと仰ったらしい。それって、「しばらく休みます」と貼りだしてすぐじゃないか。再開を待ち望んでいるファンは今も数多く、その一部はもう亡くなられたのかと心配しているであろうに、張り紙くらい出し直してほしいところだが…。お疲れ様でした。
じぇふ氏と合流して3人で大学をさらりとうろつき、いよいよ集合場所へ向かう。集合場所は「三条河原」。表現としては漠然としているが、土下座前と並んで定番。みんな集まっているだろうか。三条御幸町あたりに車を預け、三条商店街を懐かしげに歩いていると、河原町三条交差点の歩道上に同級生を2名発見。かつて「とっても便利」という名の劇団に属し、今は弁理士という、ベンリから抜けられないT氏と、本日の紅一点S女史。君たち、ここは三条河原ではなく河原町三条だ。
ほどなくして三条河原からも5人が現れ、この時点で10名。店の方にあと2名いるので、結果集まったのは12名。男11:女1というアンバランスは急ごしらえのイベントゆえやむを得ないところだったが、それでも一人で参加してくれたS女史の強者ぶりを称えるべきか、それとも我ら11名が紳士であることの証と胸を張るべきか。…いや、少なくとも1名は、10年前と変わらず紳士にはほど遠い醜態をこの後すぐに晒していたから、やはりS女史に感謝するほかない。

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また長くなってしまった。まだ始まってもいないけど、次に続く。