49代表、出揃った

毎年ながら、夏の甲子園予選を最後までやってるのは大阪。186校という過密地区ゆえ、長引いてしまうのはやむを得ないとは思うが、甲子園で大阪代表が勝ち上がれないのは予選で8試合を戦った疲れが抜けていないからとも言われている。予選の試合数が多いからこそ、早く予選を終わらせてやってほしい。あと2, 3日でいいから、早く始められないものだろうか。
さてその決勝戦履正社大体大浪商の組み合わせ。浪商の監督は、縁あってわが京大準硬の臨時コーチとして来ていただいていた四田勝康(しだ・よしみち)さん。1974年に浪商のサードとしてセンバツ出場、住友金属時代には選手として全日本に選ばれ、都市対抗で優勝。また監督としても日本選手権で優勝という、輝かしい球歴をお持ちの方だ。草野球に毛の生えたようなレベルだった我がチームにとっては衝撃的な出会いだった。初めてお越し頂いたのは98年の春合宿、和歌山の御坊だったと記憶している。それ以来、多くて年に2度の合宿に、2日間ずつくらいの短期間だったが、とても内容の濃い時間を過ごさせていただいた。

選手個人としては、「上手くなりたい」。チームとしては、「勝ちたい」。これしかないはずなんです。これをさらに、上手くなりたい…ではなく、「上手くなるんだ!」勝ちたい…ではなく、「勝つんだ!」という気持ちを持ってください

上手くなる時というのは、徐々に徐々に、だんだん上手くなるんじゃないんです。ある時突然、ボッと上手くなる、ボッと、今まで出来なかったことが出来るようになるんです。練習しても練習しても上手くならない時期がありますが、それは決して無意味なことじゃなく、体の中に溜まっているんです

打球というのはイレギュラーすることがあるから、絶対にエラーするなとは言えません。でも、いったん捕球したボールは自分の手の中にあるわけですから、送球をミスしたらそれは自分の責任です

一字一句はっきりと憶えているわけではないけど、こんなことを仰っていたと思う。浪商や住金とは技術レベルが全然違う我々ではあったが、おそらくレベルに関係なく共通して言えること、つまり最も大切な基礎の部分を教えていただいたと思っている。
昨年春に浪商監督に就任され、その夏は新型インフルに見舞われるという不運から初戦で姿を消してしまったが、今年は見事に決勝進出。しかも勝った7試合のうち5試合が1点差勝ちという粘り強さ。履正社のほうが力は数段上に見えたけど、それでも崩れず、最後まで食らいついた姿に、「勝つんだ!という気持ちを持ってください」という言葉を思い出した。
豪腕、豪打のスターを見るのも面白いけれど、丁寧に丁寧にプレーを積み重ねて勝っていくというチームも、高校野球の醍醐味。あらためてそう思った、大阪大会の決勝だった。