事業仕分け・続報

事業仕分けのベースとなる資料は、たぶん財務省からもたらされているんだろう。全事業をゼロベースで見直すことなど時間的にできるはずもないので、毎年査定を行っている財務省から、「バッサリいけそうな事業」のリストをもらっている…と思う。違ってたらごめん、でもそれ以外考えられない。
他省庁の事業についてはさておいて、文科省関係について思ったことを。

「似たような事業がいくつもある。予算をとる手段ではないのか?」
事実、その通りだと思う。しかし、たとえば500億の新事業を一つぶちあげたとして、それを財務省が認める可能性は限りなく低い。でも50億の事業を10個なら認められる可能性が上がり、事実今まで認められてきた。このことについて、仕分け人から指摘されるのはやむを得ないとしても、財務省の役人から文句を言われる筋合いはない。あんたらがそういう仕組み、判断基準でやってきたんでしょうが。
「若手研究者の支援を国費で、文科省がやるべきか?」
大学院生を増やせと号令をかけたのは政府。国策だ。そうすると、博士号を取った人が就職したり研究職になったりすることを支援する策を国が取るのは当然で、企業が博士をとりたがらないことについて経産省は効果的な施策を打ち出せなかったのだから、文科省がサポートするのは当然じゃないのかな。「アメリカのように、自分の食いぶちを稼ぎながら大学院に進むようにすればいい」とか言っていたが、それなら欧米諸国のように大学院の学費をゼロにしたり、逆に給料を出すような予算が必要。そんなことも知らずに仕分け人とか言ってほしくない。文科省の担当者も情けない。ただ大学院重点化については失敗があって、需要がないのに先に供給ばかり増やしてしまった。拙速に数を追ってしまった。今回のエコカー減税を見ても、「売れるから作る」。まず出口を作ることが大切。大学院生を増やしたければ、大学院卒が求められる世の中を先に作るべきだった。そうすれば学生は自分の意思で大学院に進むようになったのに。
「(スーパーコンピュータで)世界一を目指す意味がわからない」
科学技術で世界一を目指さないなら、技術立国としての日本は終わる。優れたスパコンが国内になければ、優秀な研究者が国外に流出したり、研究の進捗が遅れて成果を他国に先取りされるのは目に見えている。「アメリカと競争するのではなく協力すればいい」だって。何を寝ぼけているんだろう…自国で巨額の金をかけて開発したスパコンを他国の研究者に貸して、どんな見返りがあるんだ。日本が科学で後れを取ったら、いったい何で存在感を示すのか?日本の経済力は技術によって支えられているということがわからないのかな。日本は二流国でいいってことか。

もしかしたら山中先生が、日本国内での研究成果でノーベル賞を受賞した、最後の科学者になってしまうかもしれない。