飲酒運転で懲戒免職

飲酒運転で物損事故を起こした公務員を懲戒免職処分にしたのは罪と罰のバランスを著しく欠く、ということで、当該処分を取り消す判決があったらしい。
まぁ、他の物損案件に対する懲罰規程が戒告あるいは減給であることと比べれば厳しすぎるのは確かかもしれないが、飲酒運転で捕まって処分を受けた当事者が「処分が厳しすぎる!」と言って訴えるという姿は全く美しくない。はっきり言って逆ギレ。処分が不当に厳しいということを知っているなら、飲酒運転をしなければ済むだけの話であり、あるいは捕まる前に処分規程の見直しを求めて活動すればよいのだ。処分が厳しいことを知らないとすれば、それは組織の一員としてあるまじきことだ。
ちなみに裁判所というところは、訴えの利益がなければ―つまり「損害を受けたが、訴えによってその損害を回復できる」という状況でなければ―受け付けてくれないらしい。だから、「こんな規程が作られてしまった」というだけでは訴訟を起こすことはできず、「こんな不当な処分を受けてしまった」後でないといけない。違憲立法審査権にしても、立法された段階で「それは違憲だから無効」と言うことはできないらしい。だから、裁判を起こす順序としては確かに正しい。
飲酒運転は重大な犯罪だと思う。ただ、福岡市職員飲酒ひき逃げ事件以来いろんな自治体で定められた飲酒=免職という規程は、ヒステリックな市民感情に対して「うちはこんな規程を設けて対処しています」と言いたいだけのアリバイ作りのようにも思える。迅速に対処するのも大切なことだけど、ちゃんと筋が通る内容にしないといかん。
…といった理屈の話はともかく、この公務員の行動の美醜は如何と言えば、醜いと思うわけである。