おじさんと呼ばれたヒーロー

ヒーローといえば、今の時代では20歳前後の若者が相場であり、戦隊モノだと女の子も混じっている。まぁ作品の対象年齢が小学校入学前の子(およびその母親?)なので、あまり歳がいきすぎてお父さんより年上なんてことになるとリアリティがないのかもしれないが、高等教育も完了していない人間に世界平和を託すとは。いやそれ以前に、普通自動車の免許もとれないはずの彼らがスーパーマシンを操縦するというのも納得がいかない。とにかく、彼らは総じて「青二才」と言われてもいいくらい若い。
しかし50年前には、「おじさん」と呼ばれたヒーローがいた。そう、月光仮面である。なにせ、あの川内康範さん*1が作詞した主題歌「月光仮面は誰でしょう」で

月光仮面おじさんは〜 正義の味方よ 良い人よ〜

と正面切っておじさん呼ばわりされているのだ。逃げ場はない。まぁ、彼は正義の味方だから逃げも隠れもしないんだろうけれど、疾風のように去っていく人でもあるので、逃げ切られてしまうかも知れない。
さぁ、ふと気になったのは月光仮面の実年齢である。なにせ「おじさん」であるから、35か40くらいいってるんではないか、と思い調べてみた。ところが、設定年齢というモノがない。また、月光仮面の正体と推定される人物「祝 十郎」についても、年齢は設定されていないようだ。これは困った。
ならば最後の手段である。祝十郎を演じている俳優の当時の年齢をもって「おじさん」の年齢とすることにした。
俳優の名は「大瀬 康一」さん。Wikipediaによると今は俳優業を引退し、自営業なのだそうだ。が、驚愕の事実が明らかになった。大瀬さんは1937年12月生まれで、月光仮面の放送開始は1958年2月である。つまり、わずか20歳2ヶ月で「おじさん」呼ばわりされていたというのだ!いくらなんでもそれはないだろう。もしや、「月光仮面のおじさん」とは、月光仮面本人をさす言葉ではなくて、月光仮面叔父さんあるいは伯父さん、つまり父親か母親の兄か弟のことを指しているのだろうか。正義の味方よ良い人よと歌われたuncle of 月光仮面は自分では動かず、甥である月光仮面に悪者を退治させているという枠組み。なかなか斬新な物語だ。
…ごめんなさい。我が身を省みれば30歳と6ヶ月。もうおじいさんかもしれない。

*1:「おふくろさん」騒動で脚光を浴び、森進一の謝罪を受け入れないまま他界した