四番・指名打者

引退試合は地上波では放送されていなかったけれども、J-Sports ESPNで完全中継されていたのでそれを見た。
2回の表が終わり、次は清原の打席だ。イニングの合間、わくわくしてテレビの前で待っていたら。

ピンポーン

誰じゃいっ!と思ったら、今日お隣に引っ越してきたご夫婦だった。ヨメは表に出られる格好ではなかったので、仕方なく出る。どうやらもう定年を迎え、お子さんたちも自立された感じ。「年に1度ほど孫が来てやかましくしますが、どうぞよろしく…」と柔らかい感じのご夫婦だった。間違いなくうちの方がやかましくしてご迷惑をかけることだろう。
テレビに戻ると、打席に立っていたのは五番のローズ。リプレイで、清原のライトフライを見た。
ところで今日はヨメの誕生日。どっか食べに行こうかと思ったのだが、ヨメが食べたいものがピザだったということもあり、シカゴさんに宅配をお願いした。これなら清原の引退試合を見ながら食べられる。…ひどい旦那だとは言わないでおくれね。電話したのは私だしね。そうそう、ピザ屋ってさ、二度目の注文以降は電話番号が登録されていて、番号を言えば「○○様ですね、いつもありがとうございます」って言ってきたように思うんだが、今日は住所と名前まで言わされてから「いつもありがとうございます」って。これはアレかね、よそ様の番号を言って勝手に注文するといういたずらを防ぐためかね。銀行や役所で本人確認をされるのは当然だけども、宅配ピザでも本人確認がいる世の中かね。何とも世知辛い。30分以内にお届けしま〜す、ということは今日はあんまり混んでないんだな。
そんなわけで、また試合を見ながら待っていた。オリックスの23番を見て一瞬小川かと思ったが、今は北川がつけてるんだな。最近オリックスの試合なんて見ないからなぁ。そんなこんなで4回裏。打席には三番のカブレラネクストバッターズサークルに清原の姿が映っている。

ピンポーン

…。たしかにあれから20分ちょい。彼は全く悪くない。今日はヨメの誕生日なので、このピザは私のおごりだ*1。つまり、玄関には私が出ねばならない。ピザとコーラとサラダを受け取り、リビングに戻ってきた私を待っていたのは、またしても五番・レフト・ローズ。どうやら清原は三振したらしい。ここでローズが見事な本塁打をかっ飛ばす。たしかローズも40歳のはずだが、まだまだ動けている。この姿を見ると、才能に恵まれすぎた清原は若い頃に不摂生をしていたんだろうなと非常に惜しい気がする。
ピザを食べ終わると、ヨメがツタヤに行きたいと言い出した。しかしツタヤに行って帰ってくるとだいたい20分くらいはかかる。今から行くと、清原の第3打席を見ることは100%不可能だ。というわけで、清原の打席が終わってからねということにした。…ひどい旦那だとは言わないでおくれね。
その第3打席、清原は見事に右中間を破り、適時二塁打を放った。神宮、広島、東京ドームならもしかして…と思ったが、やっぱり力んでるんかなぁ。打席は終わったけれども、膝を痛めている清原が塁上に残って頑張っている姿を見ないわけにはいかない。イニングが終わってすぐにツタヤへ。
帰ってきてテレビをつけると、8回の表が終わっていた。次の回の打者が阿部、清原、ローズである旨の字幕が出ている。今度は間に合った。リードして迎える8回裏ということは、99%この試合の最後の打席、清原のプロとしての最後の打席だ。杉内は高めのまっすぐを投げ込んでくる。空振り。次も空振り。見ているとボール球のようにも思える。当たれば飛ぶコースかもしれないが、当たらない。最後も高めのボール球、空振りの三振。6球すべてまっすぐだった。打たせてやりたい、打ってくださいというボールではなかったが、打てるもんなら打ってみろというようなボールでもない。打ってほしいという気持ちはこもっていたと思う。でも、放り込むことができなかった。打者に打たせるのは簡単なことではない*2。7番のすごいやつ吉村禎章の最終打席も、もうひと伸びのないライトフライだったな。
桑田と清原が引退した。小さい頃にスターだった選手がどんどんいなくなるのは寂しいものだけども、こればかりは仕方ない。今の選手は技術、能力では昔の選手より凄いのかもしれないけど、アクがないというか、強烈に引きつける何かというものには欠けている気がする。凄いプレイヤーとスタープレイヤーとは同じものではない。今日のような引退セレモニーが似合う選手は、今の球界にはいないような気がするなぁ。
清原選手、お疲れ様でした。

*1:普段の食費もすべて私が負担しているから、実質的には私のおごりなのだが

*2:投手の引退登板で打者が空振りするのは簡単。巨人の斎藤雅樹槙原寛己の引退登板で、ふたりともあり得ないほどあっさりと三振を奪ったシーンは今もまぶたに焼き付いている