「はとこ」という血縁関係

普通「親戚」と言ってつきあいがあるのは、田舎の祖父母であったり、おじ・おば、いとこあたりであって、我々くらいの世代になるといとこに子供ができてたりするとしても、その子供同士・つまりはとこが交流を持つという可能性はそう高くない。「遠縁」の一歩手前くらいの関係なのではないだろうか。遠縁の親戚なんてものが現れるのはロト6で3億2000万円当たったときくらいなものだろうが、はとこが同じ市内に住んでいてしかも同学年となると少し話が違ってくる。
初めて会ったのは小学校3年生の頃だろうか。のちに「さんしんタイガース」というラジオネームを名乗るほどの虎ファンになる彼だが、その時はたしか読売巨人軍の野球帽をかぶっていたと思う。
それからしばらくして同じ学習塾に通った時期もあった。今でも通用する我々のニックネームは、二人の和田を区別するために、かれこれ20年近く前に生まれたものだったりする。
同じ中学に入り、同じ野球部に入り、彼はきまじめ・私はふまじめに中高の6年間を過ごした。同じクラスになることはなかったが、それはきっとふまじめな男がきまじめな男に悪影響を及ぼさないようにとの配慮だったに違いない。同学年に親戚がいて、それが学年トップであるというプレッシャーは並大抵のものではないが、ふまじめな男は平然と野球に明け暮れていたものだ。
その後東の帝大を出て日本を支える仕事をしている彼がこのたび結婚。彼の幸せそうな…というか満足そうなキメ顔を囲むことができて幸いである。ただ披露宴のとき、私たちのテーブルが新郎そっちのけで同窓会のような雰囲気になっていたのは秘密だ。