スピード社製を着るしかないでしょう

北島康介選手が、200メートル平泳ぎで自己ベストを1秒33、世界記録を0秒99更新する驚異的なタイムを出したらしい。本番まであと2ヶ月に迫っているが、国内3社がいまからいくら良い水着を作ったとしても、あるいは良い水着を作れる可能性が高いとしても、もうスピード社製を着て出場するしかないと思う。
なぜなら、国内3社がこれから作る水着は、国際水泳連盟がOKを出す可能性が100%ではないから。スピード社のレーザーレーサーを上回る性能の水着を日本選手だけが着用し、金メダルを取ったとしても、後から難癖をつけて「あの水着は違反だ」とか言い出す可能性は十分にある。
鈴木大地選手が背泳で金メダルを取った後に、彼が得意としたバサロ泳法が禁止になった事がある。スキージャンプ競技においては、板の長さに関する規定が平均身長の高い欧米の選手に有利になるように改正され、以後日本人のメダルは激減した。これらの件については、メダル獲得当時には合法的な行為であったために、メダルの剥奪等のヤヤコシイ事態にはならなかったけど、水着については「競技中に速さや浮力、持久力の向上につながる道具を身につけてはいけない」という旨の明文の規定がすでにある。レーザーレーサーは水を吸わないように表面に加工がなされていて、浮力が得られるらしいが、なぜかこの規定には抵触していないらしい。しかし同様の加工を施した水着を日本のメーカーが開発したときに、この規定を確実にクリアできるかというと微妙である。国際水泳連盟IOCが日本に有利な裁定を下すとは到底考えられないことを、過去の事例が物語っている。かといって、コンマ何秒を争う世界で秒単位のアドバンテージが得られる水着を着ないという選択肢もあり得ない。有無を言わさずにメダルを取るには、欧米の選手と全く同じ土俵で戦うしかないだろう。