壱万円札の人

幼い頃どうしても会うことができなかった憧れの人に会うために、奈良県法隆寺へ行ってきた。我が故郷の姫路城と並んで、日本で最初に世界文化遺産に指定された寺だが、寺院と言うよりはすでに「遺跡」に近いような感覚を覚えた。たとえば比叡山延暦寺であるとか、妙心寺などはまだ宗教施設として生きているように感じるのだが、法隆寺からはそういったものが感じられなかった。だから逆に、純粋に古代について思いを馳せることができるのかもしれない。世界最古の木造建築と言われる五重塔をはじめ、日本史や美術の教科書に出てくるような国宝や重要文化財が目白押し。古代の匠の技に感嘆することしきりである。京都にも古い寺院や神社がたくさんあるが、奈良には奈良の良さがあるような気がする。うまく言えないけれども、一緒くたにするのは違うなぁ、と思った。