今さら??

今まで調査したことがないというのがおかしいだろう、朝日新聞より(全文はこちら)

文系の博士号、難しすぎ? 理系の3分の1以下

 博士号は文系の方が理系より難しい――。博士課程の修業年限内に学生が博士学位をどれだけ取得できたかを文部科学省が初めて調べたところ、文系の学生の取得率は理系の3分の1以下であることがわかった。博士号については「理高文低」と言われてきたが、それを裏づけた格好だ。文科省は「文系は低すぎる。対策を考えてほしい」と話している。
(中略)
 大学が学生に博士号を与える条件は、「自立した研究ができる能力」があること。理系の各分野ではこうした考えが浸透しているが、文系の分野では約120年前の制度発足以来、「功成り名を遂げた人」に与える意識が根強く、理高文低の一因となっている。
 文科省は05年9月の中央教育審議会文科相の諮問機関)の答申を受け、大学院教育について学問研究とともに人材育成面にも力点を置く方針を打ち出し、その一環で修業年限内の学位授与を促している。同省の担当者は、文系の現状について「ちょっと低すぎる」とし、「どの程度の授与率が適当か、各大学院で考えてほしい」と話している。

大学職員の時は教務の総本山に、そして今は人文社会科学の振興に携わる部署にいるのだが、文系では教授が退官直前になって博士論文を書くことがままある。もちろん最近の若い人は博士号を持っていないと就職がないのだが、30年前に就職した人たちにとっては、何というか「私の研究の集大成」が博士論文なのである。だから、私が学生時代に所属していた研究室でも「○○先生が退官する前に書き上げないと、僕の論文を審査する人がいない」なんてことになるわけである。
まぁ現場が旧態依然としていることももちろん問題だけれど、大学院重点化という施策はたしか10数年前、当時の文部省が主導で打ち出したはず。100年間調査せず、その施策を打ち出した当時も調査しなかったというのはどうなのだろう。現状をきっちり把握せずに「ちょっと低すぎる」もへったくれもないと思うのだが。