目黒「闇市倶楽部」のツラミ・塩

というわけで自宅から1時間半、定期を使わなければ片道700円の距離を隔てた焼き肉屋・ホルモンの集うところ「闇市倶楽部」で、焼き肉への愛を捧げることにした。今日はデジカメが電池切れという失態を演じてしまったため、写真は肉部部長のP-chanにおまかせするが、なかなかの珍品に出会えた。今日のメンバーは我々2人の他に、P-chanの大学の後輩であるという女の子・男の子それぞれ1人、計4名であった。てっきり男だと思っていた(第1回肉部・鶴橋「空」の時はそうだった)。
さてJR目黒駅の西口を出て1分、ビルの地下1Fにその店はある。18時、焼き肉を食べるにはやや早めの時間帯であったがすでに満席。我々の目の前で、グループが引き返していった。予約していた我々は意気揚々と店内へ進む。各テーブルの中央は黒く焦げ、その真上に吸引式の煙突がぶら下がっている。そう、ここは七輪、炭火焼き。スモークレスグリル、簡易なガス火、いろいろな焼き方があるが、やはり炭火というのはそれだけで気分が違う。遠赤外線がどうの、焼きムラがどうのと、科学的な観念を持ち出すまでもない。炭火は、我々の心をも熱くしてくれるのだ。
さて、食べたものは以下の通り。

  • ミノ刺し
  • タン刺し
  • ゲタカルビ
  • ホルモン盛り合わせ
    • 牛ミノ(第1胃)
    • 牛ヤン(第2胃のコブの部分)
    • 牛ハツモト(大動脈)
    • 牛ギャラ(第4胃)
    • 豚コリコリ(食道)
    • コブクロ(子宮)
    • 豚ガツ(胃袋)
    • 豚ホルモン(大腸)
  • 和牛ハツ(心臓)
  • 和牛ツラミ塩(ほほ肉)
  • 三元豚カルビ塩
  • 豚のオッパイ(チチカブともいう、乳房)
  • コムタンスープ

見たことも聞いたこともない人もいるかも知れない、そんなモノをいろいろと、4人でそこそこ満腹になるまで頂き、15,470円。間違いなく安いと言っていいだろう。印象に残った品を以下に記す。

ミノ刺し
あまり見ない品。今まで運悪く品切れだったりしたために今日が初挑戦。ワサビ醤油、ニンニク醤油、生姜醤油から選ぶことになるが、食べたことがないのでイメージで生姜醤油にしてみた。ニンニクでも良かったかも知れない。鳥の砂ズリのような食感を期待したが、そこまでゴリゴリと堅くはない。味は淡泊で、一品目にはちょうどいいだろう。
タン刺し
普通だとやや小さめに切って辛子醤油、といったところだが、ここのタン刺しは塩ダレで味付け済み。カットも大きめで、通常の塩タンの半分くらいある。そして厚みはその倍。しっかりした歯ごたえが楽しい。塩ダレがドレッシングのようで、刻んだ白ネギと合わせて食べると、生ハムのサラダを頂いているような感じ。
牛ヤン
牛の胃袋にしてはのっぺりした外観。焼くとキュッと引き締まる。ホルモンのぐにぐにした食感が嫌いな人、ミノの繊維っぽさが嫌いな人でも大丈夫。潔く噛み切れて、後に残らない。
ツラミ塩
ツラミというとやや暗赤色で堅く、薄いことが多いのだが、ここのツラミは鮮やかなピンク色でカットも大きめ、厚い。厚く切って出してくるだけあって、焼いても堅くなり過ぎることはない。だが片面を長く焼きすぎると大きく反りかえってしまうので、こまめに裏返す方がいいかもしれない。塩ダレで頂くのも新鮮。
三元豚カルビ塩
この塩ダレはオリーブオイルに塩、そしてバジルがふってある。各人の手元に提供されたレモン汁に付けて頂くと、これがなかなかいけるのだ。家でも試してみたくなる一工夫で、単調になりがちな焼き肉にメリハリがつくかも。
豚のオッパイ
メニューにこう書いてあったんだから仕方がない。生のうちはふにゃふにゃと柔らかく、なるほどオッパイっぽい…と思ったものだが、焼くと案外堅くなる。牛タンほどではないが、方向性は似た感じ。これも塩ダレで頂いた。
コムタンスープ
シメの一品。とろみを感じる半歩前までまろやかに煮込まれ白濁したスープは上々。具にハチノス(牛の第2胃)が入っているあたりも面白い。

塩ダレは総じて良かったが、普通のタレが普通すぎた感は否めない。また赤身肉は通り一遍のモノしかないので、行く相手の好みを十分に考慮しないと、よろしくない結果を招くことになりかねない。ホルモン何でも来いの人にのみオススメできる店である。