携帯電話によるカンニング

うーん、まさか単独犯行だったとは。監督官もそこまでザルではない、まず無理だろうと思っていたんだが、問題を漏らすだけでなくそれに対する回答をチェックするとはなかなかの手練れである。しかし、せめて解決済みの質問くらい削除しておけば良かったんじゃないか?それほどまでに追いつめられていたのか。
これに対し、大学側は当然対策を練る必要があるのだけれど、いくつか上がっている具体案としては

  • 携帯電話をいったん預かる
  • 試験監督を増やす
  • コンサートホールなどで使われている、妨害電波発生器を使う

というところだろう。個人的には、いちばん効果があるのは「試験監督を増やす」だと思う。携帯電話を預かると言っても、機種変更する前の古いやつを電源切って渡してしまえばそれでパスできるだろうし、電波妨害をして外部との通信を遮断したところで、携帯電話自体に辞書や計算機の機能が備わっている以上、それはカンニングを防ぐ手段としては不十分である。あらゆる機器が小型化している昨今、それらを用いた不正行為をすべて無効化する方策が求められている。
そう、「無効化」すればいいのである。
違法行為を根絶する唯一の方法は、すべてを合法化することだ…というのと同じ発想だが、辞書や計算機の使用を許可し、それを前提とした問題を作ればよい。そして、外部の協力者に相談をしても意味がないような問題を。
膨大な知識に簡単にアクセスできる現代社会においては、個人の頭の中にどれだけの知識が詰まっているかというようなことは、従来ほどには値打ちを持たない。常識はずれの知識量を誇るクイズ王がスーパーコンピュータに敗れるくらいだから、そういった分野はコンピュータに頼ればいい。知識の量によらず知力を計る、その手段も指標もなかなか難しいとは思うが、そうせねばならない時が来ているのかも知れない。
それにしても…京大を受験するような人間が、正解を知っているとは限らない他人を頼るという発想に驚いた。個人の知より集合知の方が優れているということを知っているというのは卓見だと思うが、彼は何かの絶望を経てそこにたどり着いたのだろうか?少なくとも学力に関して、京大受験者なんてのはプライドと自信の固まりばかりだと思っていたんだが。