日中関係の悪化を恐れる

我が国固有の領土たる尖閣諸島近海において、保安を職務とする公的艦艇に対し、他国の船舶が故意に衝突してきたため、当該船舶の責任者を逮捕し、勾留した。

これが、本件に対する我が国の認識だったはずだ。事実認定さえ正確ならば、非の打ち所は全くなく、勾留は正当だと私は考える。また、事実に誤りがあるとすれば、

  • 現場は島から遠く離れた公海上であった
  • 衝突は故意でなかった

しかあり得ない。なぜなら尖閣諸島が我が国の領土であるというのは永年にわたる我が国の公式な主張であるし、その他は客観的事実だからだ。
しかし、中国のイチャモンにあっさりと屈し、船長の釈放が決まったらしい。日中関係の悪化を恐れてのことであろう。上記二点について誤認であったとなれば釈放もやむを得ないが、そうでなければ、釈放の根拠は「尖閣諸島は我が国の領土ではなく、海上保安庁の逮捕権行使は不当だった」ということしかなくなるというのに。
情けない話である。60連勝中の横綱が相手でも、何とか食らいつき、勝機を見いださねばならぬときに、立ち合いから戦意を喪失したようなものだ。撒かれた塩が目に入って痛いからもう負けでいいです、みたいな。
我が国首脳は、外交関係の悪化とは何を指す言葉かを完全に誤解している。相手国の機嫌を損ねることだ、と思っているのだろう。違う。
外交関係は、極端に分類すれば

  1. 相手国は我が国の言いなりである
  2. 我が国と相手国は対等である
  3. 我が国は相手国の言いなりである

となるだろうと私は考える。機嫌は二の次で、我が国の国益のために相手をどう動かすかという結果が重要だ。つまり、上の3つのうち、最良の関係は1であり、最悪は3である。
このたび、相手の機嫌をとるために、我が国は正当な主張をあっさりと曲げ、相手の言いなりになった。関係の悪化とは何かを履き違えたために、日中関係は最悪のものとなり、しかも領有権の主張すら揺るぎかねない状況になってしまった。
陸奥宗光小村寿太郎が草葉の陰で泣いていよう。

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明日早いのに、深夜に、しかも携帯でこんな長文を打ち込んでしまった。私がここで怒っても何にもならんとは思うが、税金で飯を食っている身として、同じく税金で食っている連中の情けなさに怒りを禁じ得ない。今夜は寝られんかもしれん。