「ややもすると財務省のペース」

朝日新聞より。2009年11月19日8時33分の配信。

事業仕分け財務省ペース」 民主・輿石氏が懸念漏らす

 「ややもすると財務省のペースに入っていないか」
 民主党輿石東参院議員会長は18日の議員総会で、行政刷新会議の「事業仕分け」の手法に懸念を表明した。
 輿石氏は「(報道各社の世論調査で)7割の国民が評価している」と述べる一方で「『地方を元気にする』『コンクリートから人への投資』という二つの理念が予算に生かされているのか、という見方もあることに注意しないといけない」と指摘した。
 背景には、事業仕分けによる予算削減を心配する声が関係団体から党本部に寄せられていることがある。発言は出席議員から拍手を受けた。

「ややもすると」じゃなくて、ほぼ財務省のペースそのものだと思います。
事業仕分けの候補リストって、財務省がほんとは切りたくて仕方なかった事業のリストとしか思えない。「コンクリートから人への投資」を謳っている政権が作ったリストだというなら、文部科学省の全予算の7割がリストに挙がることなどあり得ないはず。過ちて改めざる、是を過ちと謂う。過ちては則ち改むるに憚ること勿れ。
この仕分け作業に快哉を叫んでいる人たちは、単に「自分より賢い人が考えたんだから間違いないだろう」と追随しているだけ。たった一人の官僚とさえ直接会ったこともないくせに、官僚は権力欲の権化で、天下りのことしか考えてない…と思いこんでいるだけ。まぁマスコミ報道以外に判断材料を何一つもっていないんだから仕方ないかな?官僚は個々の省益しか考えてないのだ、というなら、今回の財務省の動きこそ、国益より財務省の省益を優先したものということにはならないか?
たぶん全ての官僚は自分たちの属する省庁の省益が国益に直結すると本気で信じている*1と思う。ただ、それは全ての打者が、自分がヒットを打つことがチームの勝利につながると信じているのと同じ。ヒットは確実に出るものではないので、野球では9人の打者を打線として機能させるために、監督が各打者の役割を決め、サインを出す。政治の世界では、その監督の役割を国会が担うはずだ。財務省とその手先である仕分け人が言ってることは、ただ「厳しい球は見送れ」のワンパターン。2ストライクからでも見送れと言う。監督さん、ある省庁から召し上げた予算を、同目的の事業を行っている他省庁につける「送りバント」や、複数の省庁が連携して取り組む「ヒットエンドラン」なども必要ですよ。それと打順の組み換えも是非行っていただきたい。コンクリートから人へ、というなら、経産省国交省の打順を下げて、文科省厚労省の打順を上位にもってくるべきじゃないですかね。

*1:というか、そもそも「省益」なんて言葉、誰が考えたんだ?