何とか勝った

「何でもできる」選手を揃えた日本と、「一芸に秀でた」選手を揃えた韓国、という印象を受けた。
金寅植監督も、大会前に「日本は代表チームをいくつも編成できるだろうが、韓国は1チームがやっとだ」と言ったという*1し、もしかしたら、韓国はリーグを見渡しても「何でもできる」選手がそんなに多くないのかも知れない。選手層の厚さで言えば日本は韓国よりまだ優れているのかも知れないが、その乏しい手駒をフル活用してここまで勝ち上がったところは賞賛に値すると思う。ただ、9回裏のチャンスに全てをかけて戦力を投入したために、延長を戦う力は残されていなかったということ。
前の韓国戦は15安打で6点、今日も9回まで12安打を放ちながらたった3点しか取れなかった日本に対し、少ないチャンスを生かし追いついた韓国。「打つしかない」「走るしかない」選手に、その仕事に専念させたことが結果に結びついたんだと思う。秋信守本塁打も、李大浩の犠牲フライも。初回に3点を奪って日本を破った試合も、李容圭の盗塁から流れをつかんだものだった。自分の武器を信じて、それをどう生かすかに集中していたように見えた。
逆に日本は、それぞれが何でもできるだけに、状況に応じて小さくなってしまったところがあるように思う。ヒットを狙っていけるのにセカンドゴロで走者を進めたり、バントをさせるべきなのに打たせたり、打たせるべきなのにバントさせたり、選択肢が多い分迷いがあったように感じた。サインがない部分でも各打者がいろんなことを考えて、それはそれで効果があったから勝ち進んで来たんだけれど、全員がそれでは決定力に欠ける。サッカーの日本代表と同じで、どれだけつないで回しても、結果ゴールにつながらなければ意味がない。
言い換えれば、最低限の仕事にとらわれた日本と、最大限の仕事を心がけた韓国。なんかこう書くと負けたように思うけど、それぞれの力、試合展開を考えればもっとスッキリと勝てたんじゃないかという思いを込めて。
とにかく、勝ってよかった!

*1:Number WBC特集号より