解雇と除名

若麒麟の「解雇処分」は退職金が出るらしい、なんと甘い処分だ!という意見が沸騰しているようですが、ひねくれ者の私はちょっと異論を唱えたい。
現時点では、彼を除名処分とすることは正しくない。その理由は以下の通り。

  1. 同じ容疑で逮捕されたロシア人力士が解雇処分とされていること
  2. それ以後、解雇や除名に関する規程、あるいは大麻に関する決まりが変更されていないこと

もしこの度の若麒麟を除名処分にするならば、逆・人種差別ともとられかねない。どんな違反を犯したか、ということと、どんな処分を下すか、ということはきっちりと関連づけられている必要がある。いわゆる「罪刑法定主義」というやつで、たとえばどんなに非道な強姦を何百件と行っても、相手が死なない限り死刑になることは絶対にない*1。そのような鬼畜を死刑にしたければ、犯罪が実行されるより先に法律を改正しておかなければならない。協会の内部処分と刑法とをそのまま比較するのはよろしくないかも知れないけど、会社でも同じ規則違反を犯したAさんが減俸でBさんがクビなんてことになると裁判沙汰は必至である(累犯はなかったものとして)。
もちろん、私も退職金を出すことが正当だ、除名処分は重すぎると言うつもりはない。軽くてもそうせざるを得ないということ。ただ、相撲協会を批判するポイントとしては、

  1. 大麻に関する決まり、除名や解雇処分に関する規程の整備が遅れたこと
  2. 解雇処分にした理由を「まだ25歳だし、除名はかわいそう」と述べたこと

に重きを置くべきである。

*1:なお、結果として被害者が死んでしまっても、「強姦致死」で起訴された場合すなわち殺意があったとは認められない場合、死刑にはならない