聴覚障害者の運転

ちょっと待ってくれ、何でも規制緩和したらいいってもんでもないだろう。

聴覚障害者>運転手向けのマーク決定 警察庁

 警察庁は、聴覚障害者が運転する車に表示するマークの図柄を決め、15日公開した。6月1日施行の改正道交法で、全く耳の聞こえない人でも運転免許を取得できるようになることに伴い、他の車に注意喚起するのが狙いだ。
 マークは直径12.2センチの円形で、白で縁取りした緑地に黄色のチョウの模様を配置。夜間でも識別しやすいよう、反射材を使っている。
 運転免許は、これまで一定の聴力がないと取得できなかった。改正道交法は、まったく耳の聞こえない人でも、普通自動車に限って免許が取得できるようになる。ただし、幅広のルームミラー(ワイドミラー)の装着と、運転時に車の前部と後部にこのマークの表示を義務付ける。
 ワイドミラーの装着やマーク表示を怠った場合には、2万円以下の罰金などが科される。また、マークを付けた車に幅寄せや割り込みをすると、5万円以下の罰金が科される。
 運転時のマークは、任意表示のものも含め、初心者用、高齢者用、身体障害者用に続き四つ目。

目は前しか見えない。遮蔽物の向こうも見えない。360度どこからでも、そして物陰からでも情報を受けることができうる耳、聴覚というものが運転には不要だというのだろうか?
標識に「警笛鳴らせ」というものがある。これは、見通しが悪く離合も困難な山道などで自車の存在を知らせる必要があるから制定されているルールのはず。その時、相手の車からはこんなマークが見えているはずがない。
緊急自動車のサイレンが聞こえたら、左側に寄せて止まれというルールもある。全く聞こえない運転者が青信号に従って進行し、救急車と衝突したら、どうするのだろうか?
認知、判断、操作において衰えが出るからという理由で高齢者には運転免許の返納を促進しておきながら、認知の一部が完全に欠落している聴覚障害者には免許の交付を開始するという考えは理解できない。聴覚情報の欠落を、ミラーを大きくする程度で補えると思っているのだろうか。せめて、サイレンやクラクションの音だけでもいいから、それを視覚情報に変換する装置を義務づける必要があるはずだ。しかも、それが前方不注意につながってはいけない。ナビや携帯電話の画面を注視してはいけないというルールもあるのだから。
弱者を救済するのは重要なことである。しかしそれによって、弱者が新たな危険に巻き込まれたり、ともすれば加害者になる可能性があるのであれば、もっと慎重になるべきではないのだろうか。