飛ばないボール

天気もいいし、最近あまり運動してないし、残額のある練習場プリペイドカードもあることだし、ということで、久しぶりに打ちっ放しに行ってきた。フライングエルボーとかいう、フォームとしてあまりよろしくない傾向があるので、それを矯正すべく家の鏡の前で素振りをしまくってある程度チェックしてはいたのだが、ボールを打つとどうなるのか分からない。打ってみるしかない。こういう悪癖は振り込んで振り込んで打ち込んで打ち込む、というのが野球部員的な考えである。ちなみにフライングエルボーになると、「当たればよく飛ぶが、スイングの軌道が不安定になってコントロールがつかない」…という症状が出るらしい。それは治さなくてもいいじゃないかというくらい、私のキャラにぴったりの悪癖である。
行ってみたのは「山科ゴルフガーデン」。名前は京都市山科区を名乗っているが、所在地は滋賀県大津市だ。東京ディズニーランドが千葉県にあるのと似ている。山科と東京を比べるのはあまりにも恥ずかしいが、方向性は同じだ。ここは球数無制限・2時間打ち放題という料金制度で、野球部員的にとても有り難い。土日ということで1950円だった。
ゴルフの練習場というのは、30、50、100、150というような距離を示す看板がいくつか設置されている。グリーンに乗せるためには距離を合わせねばならないので、自分がどのクラブを使えばどれくらい飛ぶかを知る必要があるのだ。広ければ全て平面上にあるわけだが、ここはあまり広くないので向こう側のネットの中段に200。その上に250とか書いてある。むろん、ライナーで200に突き刺さる打球と、落ち際に200に当たる打球とでは前者の方がはるかに飛んでいるはずだが、それはもう分からない。
まずはウォーミングアップということで、近距離用の短いクラブから振る。距離感の精度は残り距離が短いほど重要になるのだが…80yくらいのつもりで打った打球が、なんと65y程度しか飛ばない。おかしい、しばらく運動しないうちに飛距離が落ちたか?感覚が鈍ったか?いやそれにしてもひどすぎる。芯には当たっているし、なぜだろう?体が温まり、徐々に飛ぶクラブに切り替えていっても、どれも飛ぶべき距離に全く届かない。7番アイアンで135yなんてそんなはずはないのだが。ドライバーに持ち替えても220y、完璧に芯を食ってやっと250yのちょっと下。うーむ?
練習場によっては、耐久性はあるけど飛距離が出ないボールを使っているところも多いらしいけど、その場合は飛ばないなりに看板を近くに設置するなどして調整するはず。さらに後ろを振り返ると、きれいなフォームの白髪のおっちゃんが250yの数字近くまで飛ばしている。飛んでないのは俺だけか?どういうこっちゃ?
すると、前の打席にいる人のコーチが

「ここのボールと、コースでお使いのボールでは2割くらい違いますよ、100の看板まで飛んだら120くらいですね」

などと言っているのが聞こえた。悩んでいたのがアホらしくなってしまった。悩みながら休まず打ち続けた350球…。飛距離が落ちたわけではなくて、やっぱり飛ばないボールなんだな。でも自分の飛距離を間違えさせるような練習場って意味ないんじゃないか?
ってちょっと待てよ、それじゃさっき後ろで軽く250y飛ばしていたおっちゃんは!?300y近く飛ぶってことか!「偶然だぞ」ってプラカードでも見せてやろうか!
何とそのおっちゃんもプロでした。道理できれいなフォームだわ。