我が家に新しいクラウン

「おとん、もう車買うたで」

兄から衝撃の一報が入った。買われた車は間違いなくクラウンだ。父は今回の新型クラウンは気に入らないだろうと踏んでいたので、正直言って驚いた。兄は続ける。

「何かな、新型が気に入らん言うて、ディーラーに前の型の店頭在庫車があるやろ、それ探して持ってこい言うたらしいわ。ほな全国で3台だけあって、その中の1台にしたんやて」

ふーむ、なるほど。それなら分かる気がする…と、「新型を買った」よりも「旧型を無理矢理探させた」のほうがしっくりくる父、あるいは納得してしまう自分に驚くべきか。たしか今のクラウンは7万kmほど走っているので、車を買い換えたいという気持ちはあったんやろうな。また、モデルチェンジしてすぐに買ったせいか細かな不具合が頻発して嫌気がさしていたのも事実やし。「安定動作を求めるなら初期ロットの製品は買わない」ってのは間違ってないと思う。
しかし新型好きの兄(今の車も前の車もデビュー直後に買った)は

「新型買うかなと思うてたのにな。特別仕様車らしいけど、細かいことは聞いてへん。もう興味ないわ」

父と兄がこんな変わった人である割には、私は素直に育ったもんだ。うんうん。