自賠責が安くなるらしい

日刊スポーツより。

車検が安くなる、自賠責保険料値下げ

 金融庁は18日、自賠責保険の保険料を検討する自動車損害賠償責任保険審議会を開いた。交通事故による死亡者が減少し保険金の支払いが少なくなったため、保険料は1997年度以来、11年ぶりに値下げされる。
 引き下げ幅は全車種平均で24.7%となる見通し。現行の自家用車1台の保険料は、2年契約で3万1730円(沖縄県・離島除く)。4月からは値下げして2万3000円前後となる見込み。
 自賠責保険は自動車の保有者すべてに加入が義務付けられており、ガソリン高騰で負担が膨らんでいるマイカー利用者や運輸業界に歓迎されそうだ。
 自賠責保険料は、過去の事故件数などを基に、将来支払う保険金を予測して算出する。加入者の幅が広く公共性が高いため、できるだけ低水準に設定することになっている。
 国はこれまで加入者の負担を抑えるため、2002年度から保険料の一部を補助してきた。07年度末で補助が打ち切られるため、4月からは加入者が保険料全額を負担することになるが、保険料の値下げ幅が大きいため、加入者の負担は軽くなる。

徴収額と支出額のバランスを考えて、支出が少なくて済みそうだから徴収額を減らそうという考えは役所にしては良好な感じがする。でも諸手を挙げて賛成かというと、私はそうは思わない。
なぜなら、現状の自賠責保険による支払上限額がまったく不十分だからだ。
自賠責の死亡保険金はたったの3000万円。しかし、交通事故の遺族に支払う慰謝料は1億を軽く超えるという。この差額を埋めるため、良識ある運転者は「任意保険」に加入するわけだが、加入しない悪質な運転者だって当然たくさんいる。
また、自賠責では物損に対する補償はない。とすると、悪質な運転者は当て逃げ、ひき逃げをする可能性が高くなる。保険に加入していなければ支払能力が不足するのだから、発覚を恐れて逃げたくなる気持ちは分からなくもない。そもそも保険料をケチる段階で経済力に疑問があるわけだが、任意の保険である以上、未加入を罪に問うことはできない。
悪質な運転者による交通事故被害に対して少しでも多くの弁済が得られるようにするには、強制保険である自賠責の支払限度額を向上させるべきであろう。保険料は現状のまま据え置きにすればよい。自賠責の支払限度額が向上すれば、任意保険による支払額は減るわけであるから、任意保険の保険料は安くなることが期待される。そうなれば、良識ある運転者の負担が減り、相対的に悪質な運転者の負担は増えることになる。もしかしたら、「これくらいの保険料なら」と任意保険の加入率も上がるかも知れない。
自賠責未加入や任意保険未加入の車が起こした事故の賠償問題は、犯罪被害者の救済に似ていると思う。日本は犯罪被害者に厳しすぎる気がするが、政治家の身辺でこういった案件が起きない限り変わらないのかな?