「これは、レモンのにおいですか。」

「これは、レモンのにおいですか。」
「いいえ、夏みかんですよ。」

何というタイトルだったかも、どんなあらすじだったかも忘れてしまったが、バスの乗客と運転士の間でこんな会話から始まるおはなしがあった。小学校のときの国語の教科書に出てきた文章だ。レモンの「香り」だったか「におい」だったか自信があまりないが、たしか「におい」だった気がする。
ん?私という人間に児童文学は似合わないって?うん、まぁその通り。ただ導入として使いたかっただけ。
昨日、職場のお手洗いに行くとみかんのにおいがした。オレンジじゃなくて温州みかん。かっこよくいえばマンダリンというやつだ。てっきり、誰かみかんを食べ過ぎた人がいて、指も手も真っ黄っ黄、おしっこにまでにおいが移ってしまったみかん狂がいるのかと思ったが、今日別のトイレに行っても全く同じにおいがした。
ということは、だ。

「これは、みかんのにおいですか。」
「いいえ、芳香剤ですよ。」