クライマックスシリーズ

「せっかく最後まで盛り上がったのに、また仕切り直しのプレーオフでは興ざめだ」
「独走で優勝しても、短期決戦でそのチームが負けたらリーグ優勝の価値が薄れる」

巷ではこういった意見が噴出し、クライマックスシリーズ不要論が優勢なようである。私はへそ曲がりなので、ここは一つクライマックスシリーズ(以下CS)擁護論をぶってみたいと思う。
今年の、特にセリーグは最後まで混戦模様であり、どこがペナントを制するか全く分からなかった。だからもうおなかいっぱいで、今からまた決め直すなんてややこしいという気持ちはとてもよく分かる。しかも、意外に忘れられがちなようだが、比較的早い時期に上位3チームが分かってしまった=CS進出チームがほぼ決まってしまったために、どこが進出するのか分からないという感覚も生まれず、この不要論を強めている。
CSはそもそも、首位あるいは上位2チームが下位チームを引き離してしまったときの白けっぷりをなくすために生まれたものだと考える。今年のような状況の場合には、たしかにCSはなくてもよいのかもしれない。しかし、いつもいつも3強3弱で熾烈な首位争いとなるとは限らない。2強4弱、1強5弱などという状況、言い換えれば2位から4位あるいは3位から5位が競っている状況は比較的よく現れるのではないだろうか?確かに今までも「Aクラス死守」といった言葉があったわけで、優勝チームが決まってしまったからと言って即彼らが消化試合に突入するというようなことはなかったが、それでも優勝の望みがあるとなればまた違った重みを持つだろう。
140試合もの長丁場を戦った結果をたった5試合で覆すなんて…と見る向きもあるかもしれないが、逆に言えば弱いチームからせっせと貯金を集めて、上位チームには負け越してもペナントを制することはできる。逆に上位を倒しつつ、下位に取りこぼすチームでも同様だ。そんなチームは本当に強いと言えるのか?そもそも日本シリーズだって短期決戦である。これまでだって、独走でリーグ優勝を決めたチームがあっさり負けることは何度もあった。そんなときには、やれ「間隔が開いた」だの「油断した」だの「巨人はロッテより弱い(違)」だのと言われて冷たい風を食らってきたわけだし、短期決戦に強いチームを各リーグの代表として選出するためには、短期決戦を行うのが最もよいわけである。仮にCSで敗退しても、昨年までのパリーグプレーオフと違ってリーグ戦の順位は変動しないわけで、リーグ優勝の価値が失われるわけではないのだから、別に構わないではないか。
一年間全く顔合わせをしなかった2チームが最長7試合やるだけで日本一を決めてきた過去のシリーズに燃えた人が、なんで今回のCSにイチャモンをつけるのか、私にはあまりよく分からない。単に「今までと違うから」ってだけのような気がする。まぁ、メジャーに比べて球団数が少ないから、同じような盛り上がりを期待するのは難しいとは思うが、毎年のようにコロコロと制度を変えていてはファンもややこしくてたまらない。腰を据えてじっくり取り組むべきであろう。