あと27勝

サンサンササン サインはV
Vは勝利だ ビクトリー
エースナンバー よく似合う
桑田 桑田 桑田

体格には恵まれないながら、理想とする野球、理想とする投球を追い求めてきたピッチャーである。彼を目標としてきた野球選手は数多いだろう。お手本としてきた選手はもっと多いかも知れない。
しかし模範的な投球フォームとは、パワー効率や正確性においてプラスに作用するが、意外性や独自性においてはマイナスに作用する。効率の良さをもってしても体力の衰えをカバーできなくなった時、その投球は打者にとって予測の容易な、対処しやすいものとなってしまう。山本昌投手が今も一線級で活躍できているのは、彼の特異なフォームが打者にとって対処しづらいものだからであろう。打撃とは投球の到達位置を予測してバットを振り始めるものである以上、緩急、内外、高低の各次元において打者の予測誤差を1cmでも大きくすることが投球の極意と言っていいだろう(むろん捕手のリードも重要)。しかし今の彼にはそれは難しいのかも知れない。育てるべき若手が何人もいる巨人では、彼を登板させる必要性はないに等しい。
200勝まであと27勝。登板機会がない現状では当然不可能な数字。仮に移籍して彼に登板機会が与えられたとしても、弱小チームでは好投が勝ち星につながらない。
ファンの誰もが、「あの時のダイビングキャッチさえなければ」と思っているに違いない。しかし、あの場面でダイビングキャッチを試みる選手だからこそ、今も彼を応援しているのだ。
勝てなくてもいい、マウンドに立つ姿が見たい。