イチロー1000安打、野茂200勝

連日の大偉業達成。こうしてみると仰木監督の慧眼には恐れ入るなぁ。
ところで昔から今までの映像を見ていると、イチローの体がたくましくなったこと。で、フォームも大きく変わった…と思っている人は多いだろうし、実際そう見えるんだけれど、インパクトの瞬間の形はほとんど一緒。前足への体重の乗せ方、体の軸とグリップの位置関係…。タイミングの取り方、バットの出所などは変わってきてるけれど、捕らえる瞬間は10年変わってないなぁ。それと、イチローって体勢を崩されてもヒットにする曲芸師みたいなイメージで見られることが多いような気がするんだけど、それは彼の技術の中では枝葉の部分だと思う。イチローの全ヒットのインパクトの瞬間の写真なんてのがあって、他の打者と比べることができたとしたら、完璧な体勢で捕らえている割合はイチローの方が遙かに高いと思う。たとえば松井秀喜はホームランを打った時でさえ完璧な体勢ではないことも多い。その不器用さ、不格好さがまた魅力的だったりするんだけど、タイミングの取り方においてイチローはまさに超一流。バッティングで一番大事なのはタイミングだなと思っている私にとって、やはり最高のヒットメーカーはイチローである。
野茂はメジャーに渡った時にはずいぶん叩かれたなぁ、わがままだの、No More NOMOみたいなコピーも見たような気がするし。でもやっぱりそのなかで結果を出した、出し続けてこれたのはすごい強さを持った人だからだと思うし、野球選手のみならず誰からも尊敬の対象となりうるだろう。
プロ入り後の野茂のフォームは大きく3つの時期に分けられそうだ。近鉄時代、メジャーでエースを張っていた時代、そして今。当然、結果から見て二番目が一番いいよという結論になるけれど、単なる結果論なんて面白くないでしょ?わかりやすく理由付けをしてみます。腕の振り、スイングアークは近鉄時代が一番大きくて、徐々に小さくなってきた。とくにここ数年急に小さくなっている。もしこれを見てから野茂のフォームを見比べたいなら、左足が地面につく前後の右腕の形に注目してみてください。昔のほうがはるかに大きく反りかえっていた。こんな投げ方をして腕は壊れないのか心配になるほどに。当然、ここの反りが大きいほど、球の勢いは増す。
逆に、体の軸の安定度は年を追うごとに増している。近鉄時代は腰を大きく曲げていたため、そこから起こしてくる間にブレる。それが徐々に立ち気味になってきて、今が一番自然な立ち姿勢に近いんじゃないかな?これによってコントロールも安定してきたわけ。ま、これは球威を落とす要因でもあるんだけれど…。
というわけで、大きな腕の振りから生み出す球威と、安定した体軸による制球の良さが両立した時代が一番いい成績を収めていた、ってこと。ちょっとそれっぽい解説でした(笑)