研究者は妻を雇用してはいけないのか

事業仕分け第二弾で、理化学研究所の研究員の妻が秘書あるいは研究アシスタントとして高額な給与を得ていることが問題視されたらしい。アシスタントが全部で97名いるうちの6名が妻であったのだそうだ。国会議員の妻や親族が秘書であったり後援団体の幹部であっても文句を言わないのに、とても不思議なことである。
私は某国立大学の某医学系研究科で働いているが、研究者というのは、もともと同じ分野で学ぶ研究者同士で結婚したり、あるいは秘書として雇用していた人と結婚したりすることがよくある。研究に没頭しないと研究職には就けず、研究に没頭していると部外者との出会いがかなり限られてくるからだろうか。つまりもともと専門性を備えた人間を妻としている場合があり、それは単なる縁故採用とは大きな隔たりがある。うちの学部には、夫が教授で妻が准教授だったり、夫が教授で妻が助教だったりする例がいくつかある。特に後者の場合、奥さまの獲得している科研費の額などから考えても、相当に優秀な研究者だと考えられるんだけれども(私の所属を知ってる人が調べればこの夫婦が誰なのか分かるだろうな)、そういうのとひとくくりにしてはいけない。あえて特殊な例を挙げれば、キュリー夫人は夫婦の共同研究でノーベル賞を獲得したはずだ。「妻」という属性のみによって、ご当人を主婦とか特別な能力がない人と見なすことや、給与は安くあるべしと考えることは男女共同参画の点からも慎むべきではないか。
ただ、特にそういった素養がない奥さまを秘書として雇用する例も確かにあって、事務室としては大変取り扱いに苦労する場合があるということも、公平を期するためにしっかりと記しておく。とはいえ97名中6名程度であれば、それは重箱の隅と言っていいだろう。