ストーブリーグ

まずドラフト。今年は高校生と大学生・社会人の2度に分けてドラフト会議が行われた。はっきりいって複雑で分かりにくいことこの上ないが、まぁ終わったことはそれでいいとしよう。ドラフト会議はこれでいいのか、とか、何のためのドラフト会議か、とか、プロ野球改革を進めて行くには…等々、いろんな視点からイチャモンをつけた記事がそこかしこにあるので、それについて改めて私ごときが何かを書いても仕方がないだろう。ま、希望枠なんかなくして、完全ウェーバー制にすれば一番単純でわかりやすいし、対象となった選手も割り切って受け入れやすいんじゃないかと思う。またそうなるとFA制度にも大義名分が出てくるしね。
それはさておき、ここ数年のドラフトを見ていると改めて巨人人気の凋落ぶりが伺える。巨人じゃないからイヤという選手はいなくなったし、巨人以外を希望球団として挙げる選手は増えたし、今年は何と巨人に指名されてそれを拒否する選手まで現れた。済美高校の福井投手だ。たしかに、甲子園で10勝を挙げている投手にしては各球団共に評価が低く、4巡目で巨人が最初に指名したということ自体がちょっと意外だった。まぁ、辻内のような剛速球があるわけではなし、体が大きいわけでもなく、小さくまとまっている=伸びしろはあまりないという感じがしたのかも知れない。そして福井投手はそのような評価を受けている、と感じ取ったから拒否したのだろう。しかし数年前なら、それでもほとんどの選手がありがたがって入団したであろう。
もしかしたら数年後、この出来事は「巨人を変えたきっかけ」と言われるようになるかも知れない。というか巨人には是非、これを機に考えを改めて欲しい。巨人は今も「ファンに愛されて当たり前、選手に憧れられて当たり前」という感覚でいるように思える。そしてその傲慢さから様々な制度を作ったり、ねじ曲げたりして球界をおかしくしていった。昨今の低迷ぶりは、そのツケ、膿が一気に吹き出してきているといっていい。お荷物球団といわれたロッテの快進撃、阪神の「ダメ虎」からの脱却など、参考にすべきものは周りにいくらでもある。球界の盟主たらんとするならば、盟主であるという自負をまず打ち捨てることからはじめなければなるまい。桃李もの言わざれど、下自ら蹊を成す。行いが正しければ人は勝手についてくる。ファンも選手もついてくる。勝利の栄光もきっとついてくるだろう。

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はてさて、行いを正せと言えば虎の29番。ポスティング制度なんてさっさとなくしてしまった方がいい。なぜあれを選手も、ファンも「選手の権利」などと勘違いしているのか。選手が他チームへの移籍について主張できる権利は現状ではFA権だけであり、それを取得していない虎の29番は何も言う資格はないのである。「夢を応援すべき」とか眠たいこと言う人らはルールの重要性を考え直して欲しい。ポスティング制度は選手と球団が合意した時はじめて適用される制度であり、球団が明確にNoを表明している以上、ねばり強く交渉もへったくれもないのである。球団にNoと言われたから機嫌を悪くするとか、そんな話はあり得ない。あくまでもそれでプラスマイナスゼロなのだ。こんな抜け穴みたいな制度を作った方にも責任があるのは明白だが、仮に「プロ野球チームをつくろう!」において傘下の選手がこんなことをほざきだしたら任意引退扱いにしてやりたいくらいである。ま、私は虎ファンでもないし29番は大嫌いに近い選手だが、四国アイランドリーグで頑張るというなら応援してやってもいい。くれぐれも、メジャーの球団に迷惑をかけるような、日本の野球のレベルが低いと思われる原因になるような事態だけは避けて頂きたいものだ。