最大手の迷走

先日ちょっと贅沢なハンバーガーを食べてみた私、基本的にハンバーガーは好きである。そしてハンバーガーを食べたくなる時というのは、大きく分けて以下の三つだ。

  1. ハンバーガー自体が目的
  2. 早く済ませるという目的を達成する為の手段の一つ
  3. 安く済ませるという目的を達成する為の手段の一つ

1.の場合にはモスやフレッシュネス、あるいはチェーンではないハンバーガーショップを選択する。マクドロッテリアを選ぶのは2.や3.の場合である。2.の場合には食べる時間をなるべく節約しようという意図が働くわけで、サイドメニューはなしで済ますことになる。3.の場合は腹が膨れればいいので、ボリュームの割に高価なものは頼まないことになる。いずれにしても客単価というパラメータで見れば非常にショボい客になるわけだ。お客様と呼んでもらう資格がないほどにショボい。そして今、マクドの店内にはそういう客がかなり多いであろう。
店側としては1.な人々の割合をどれだけ増やせるかが利益率の向上において重要なポイントとなるはずだが、マクドは薄利多売方式をとった。ハンバーガーを65円にした「平日半額」である。棲み分けを図るという意味で言えばそれも一つの戦略といえるが、結果としては失敗。理由として

  • それでペイできる程度の原価なのか、と思われてしまった
  • サイドメニューで収益を確保しようとしたが、上記の2.や3.のタイプの客が増えすぎた

ってところだろうか。「ハンバーガー3つ。以上」「195円になります」というようなやりとりが、特に学生の多い街ではよく聞かれたことと思う。上側バンズを外したハンバーガーにもう一つハンバーガーを重ねて疑似ビッグマックを作った人も多かろう。平日半額セールは終わったが、ハンバーガー自体に何か改良が施されたとは聞かない。つまり、今マクドで売っているのは65円でも元が取れる品物や、それの肉が二枚になっていたり、チーズが入っている程度の商品なのに、妙に高いのである。
平日半額→もとの価格→ワンコイン戦略と来て、またセットメニューを値上げして収益を確保しようとしているようだが、客が「誰がマクドで600円も払うかっ」*1と考えている以上、成功するとは思えない。こびりついてしまった安物のイメージを取り払うためには、価格ではなく商品を変えなければならない。全ての商品のバンズやパティをマックグランと同じものにするくらいの抜本的な対策を採らないと、いつまでたっても「早く安く」だけを求める客層しか来ないだろう。
マクドの経営陣にとってはずいぶん高くついた65円というところではないだろうか。

*1:人によっては700円だったり500円だったりするのだろうが、厳しめの予算で考えられているだろうと思われる