十年一日(本編)

序章 本編 終章

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一次会

お店は三条御幸町「和みダイニングゆず家」。最近よくある、和風な建物を改装してくつろげるタイプの居酒屋だ。飲み放題つき5,000円。
店の前で三重から来たタクと合流し、少し遅れて茶人が現れた。10年前と同じサスペンダー着用で。しかしここで予想外の事態!

幹事ZAX 「まさか12人全員揃うとは!一人くらいドタキャン出るやろと思って、11人分しか注文してないねん」

飲み放題のみ急遽1名追加してもらい、食べたものは以下の通り。

  • 先 附:本日の先附
  • 前 菜:京風出し巻・煮出し里芋唐揚:枝豆塩ゆで
  • 鮮 菜:海鮮カルパッチョ
  • 温 物:鰆の白ワイン洋風蒸し
  • お凌ぎ:穴子の押し寿司
  • 揚 物:ささ身チーズフライ 柚子タルタル
  • 飯 物:おこげの野菜たっぷりあんかけ
  • 甘 味:季節のデザート

里芋の唐揚げと鰆が美味しかった。そして京大生協食堂の定番メニュー「ささみチーズフライ」をここで味わうとは!よもや幹事ZAXはそこまで計算ずくだったか?ボリュームは十分、11人分しかなかったけど12人でも食べきれないほど。
それにしても10年の歳月はどこへやら?本当に久しぶりに会う、連絡もまるで取り合っていなかった人間でさえ特に違和感なく、ずっと顔を合わせていた学生時代のような感覚だった。まぁ、人間の中身がほとんど変わってないってことなんだろうな。その回りにふっくらとお肉を身につけたのは何人かいたけど…。既婚者が半数、子持ちはさらにその半分というのは少し意外ではあった。
そんなわけで美味しく楽しいひとときを過ごした2時間半。まだ8時半だというのにすでに酔いつぶれている発起人の総代を引きずり、二次会へ。時間の都合でタクとS女史はここで離脱。

二次会

三条商店街を東へ歩き、ジャンカラに突入。10名ですと言うと、少し狭いですがすぐご案内できますとのこと。入ってみると確かに手狭、10人分しかソファがない。すでに意識を失っている総代を寝かせるとさらに狭い。ZAXSHAZNAを歌う。じぇふ氏がミスチルを歌う。私もTHE BOOMBon Joviで10年前の雰囲気を作り出し、そして10年前と全く同じ姿をさらす総代。そうかと思えば、Bob Dylan愛唱者だった茶人がAKB48、テレビ業界に身を置くM氏はキレのあるダンスとMCを交えて嵐を熱唱。10年で身につけた新たな技に一同驚嘆しつつ、2時間半は飛ぶように過ぎたが、総代の意識も飛んだまま
M氏は翌朝仕事とのことで、ここで離脱。土曜の夜のためだけに東京から来てくれた心意気に感謝。夜に備えて飲食物を調達し、宿へ向かうのは9名。

長い夜

タクシーに4名、私の車に3名、徒歩2名という形で宿に向かう。なおも自力歩行能力が回復しない総代とそのサポートメンバーがタクシー。徒歩2名は京都在住の妻帯者である。まず総代を抱えたチームが到着。駐車場に車を回し、後からエレベータで客室フロアに着いた我々が目にしたのは、廊下に横たわる総代の姿。ほんとにダメだこいつ。
そうこうしているうちに全員集合、9名のうち4名が麻雀、のこり5名は談笑。いちおう、麻雀を打たない人のためにDS 北斗の拳で秘孔を突きまくってもらう準備はしてあるが、しばらくは積もる話に花を咲かせるようだ。
さぁいよいよ麻雀タイム、こちらもツモる話の始まりである。学生時代に何度となく戦いを繰り広げてきた、破戒僧N、ZAX、私、それに総代。本当はここに盲目の雀士・Aや、惜しくも帰ってしまった「チートイは2と8で待つ」業界人Mにも加わって欲しかったところだが、致し方あるまい。4人しかいないというこの状況で、さっきまで完全に壊れきって何も聞こえない、何も聞かせてくれなかった総代が不死鳥…いやゾンビのように復活。無事に卓を囲むことができた。その間、談笑組から聞こえてくるのはDIOがどうとかスティール・ボール・ランがどうとかJOJOの話。つのさんが話題をリードしている!?
やがて、談笑組のうち京都在住の妻帯者2名は帰宅を選択。まもなくフランスのリヨンに旅立つという茶人にして心理学者Fと、我々の中で最も早く結婚した東洋史学者F。また会う日まで健やかに。そして談笑組はいつの間にか就寝。つのさんはひとり、DS北斗の拳で秘孔を突きまくっていたが、やがて眠りについたようだ。
結局麻雀は朝の6時までで4半荘をこなした。結果は東京から来た言い出しっぺ2名が負け、滋賀に住んでいろいろ手配した2名が勝つという、ご褒美めいたものであった。ちなみに私は3−3−1−1と、夜が深まるにつれて調子を上げる、学生時代からの「3時以降が俺の時間」を遺憾なく発揮。対照的に破戒僧は「リーチしてなかったらええと思ってた」と痛恨のフリテンなど、ブランクを隠せなかった。
ぶっ倒れるように眠りについた朝6時過ぎ。外はとっくに明るいが、チェックアウトまでしばしの休息…。